ロンドンマラソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロンドンマラソン
開催地 イギリスの旗 イギリスロンドン
開催時期 4月
種類 ロードコース
距離 マラソン
創立 1981年
スポンサー タタ・コンサルタンシー・サービシズ
公式サイト TCS London Marathon

ロンドンマラソン英語: London Marathon)は、1981年以来ロンドンで毎年4月に開催されるマラソン大会である。ワールドマラソンメジャーズの一つであり、ワールドアスレティックスエリートプラチナラベルレース。通常の大会とは異なり巨大なスポーツの祭典となっている点が特色である。

沿革[編集]

ロンドンマラソンはオリンピック障害競走の元チャンピオンでありスポーツジャーナリストのクリス・ブラッシャーにより、ニューヨークシティマラソンを参考に、従来とは異なる「市民のマラソン」大会を目指して創設された。第一回大会は1981年3月29日に開催され、7,747人が参加し、完走者は6,255人であった。参加者は次年度には3倍を数え、25回大会では出走者は35,680人にのぼった。参加応募は常に定員を相当数オーバーしており、出場許可が得られるものは4万人を超える世界最大のマラソン大会の一つである。2020は新型肺炎影響で10月に延期。また東京マラソン2020同様エリートのみの限定開催予定。2021・22年も10月開催。

コース[編集]

コースはグリーニッジ・パークからカティー・サークタワーブリッジドックランズイースト・エンドロンドン塔バッキンガム宮殿ザ・マルへと抜ける。1981年の創設以来、ウェストミンスターブリッジでのゴールが、ザ・マルでのゴールに変わったのと、参加者数の増加により男子エリート、女子エリート、車椅子、一般参加者とスタートが別になったのとを除けば、競技の形式はほぼ変わっていないが、2020年の大会では、新型コロナウイルスの世界的流行を受け、開催時期を10月に延期した上でセントジェームズパークに設けられた2.15kmの周回コースを約20周する形態に変更された[1][2]

参加者[編集]

広範な使命をうたうロンドンマラソンの参加者は、車椅子競技者、エリート競技者、80歳を越えるベテランなど多様である。チャリティのためのスポンサー付きランナーも積極的に呼び込んでおり[3]、個人による寄付、マラソンの収益の残り、スポンサーからの収益などがロンドンマラソンチャリティ基金を通じて非営利団体に寄付される。多額の賞金でエリート選手を惹きつける真剣な競技大会であると同時に、純粋にイベントを楽しむファンランナーが仮装して参加する姿も見られる。2003年4月19日には、元ボクサーのマイケル・ワトソン(クリス・ユーバンクとの対戦後、2度と歩けないのではないかと言われていた)が対戦6日後にマラソンを完走したことでイングラングの英雄となった。

参加方法[編集]

公式サイトより

  1. 招待・各国連盟からの推薦
  2. チャンピオンシップ枠
  3. タイム資格枠(英国内居住者のみ)
  4. 海外旅行会社ツアー枠
  5. ブリティッシュ・アスレティクス・クラブ枠
  6. チャリティ枠
  7. 一般抽選
申込資格タイム[4] (2014年)
年齢 男子 女子
18 – 40 3時間05分 3時間45分
41 – 49 3時間15分 3時間50分
50 - 59 3時間20分 4時間00分
60 - 64 3時間45分 4時間30分
65 - 69 4時間00分 5時間00分
70 - 75 5時間00分 6時間00分
76+ 5時間30分 6時間30分

歴代優勝者[編集]

大会記録は、男子がケルヴィン・キプタム ケニア)の2:01:25(2023年)、女子がポーラ・ラドクリフイギリスの旗 イギリス)の2:15:25(2003年)であり、世界トップクラスの高速コースのひとつである。  太字 は世界記録、 太字 は大会記録(いずれも当時)、 -数字- は優勝回数。

開催日 男子選手 タイム 女子選手 タイム
1981年3月29日  ディック・ベアズレー (USA)
 インゲ・シモンセン (NOR)
2:11:48  ジョイス・スミス (GBR) 2:29:57
1982年5月9日  ヒュー・ジョーンズ (GBR) 2:09:24  ジョイス・スミス (GBR) -2- 2:29:43
1983年4月17日  マイク・グラットン (GBR) 2:09:43  グレテ・ワイツ (NOR) 2:25:29
1984年5月13日  チャーリー・スペディング (GBR) 2:09:57  イングリッド・クリスチャンセン (NOR) 2:24:26
1985年4月21日  スティーブ・ジョーンズ (GBR) 2:08:16  イングリッド・クリスチャンセン (NOR) -2- 2:21:06
1986年4月20日  瀬古利彦 (JPN) 2:10:02  グレテ・ワイツ (NOR) -2- 2:24:54
1987年4月10日  谷口浩美 (JPN) 2:09:50  イングリッド・クリスチャンセン (NOR) -3- 2:22:48
1988年4月17日  ヘンリク・ヨルゲンセン (DNK) 2:10:20  イングリッド・クリスチャンセン (NOR) -4- 2:25:41
1989年4月23日  ダグラス・ワキウリ (KEN) 2:09:03  ベロニク・マロー (GBR) 2:25:56
1990年4月22日  アリスター・ハットン (GBR) 2:10:10  ワンダ・パンフィル (POL) 2:26:31
1991年4月21日  ヤコブ・トルスティコフ英語版 (SSR) 2:09:17  ロザ・モタ (PRT) 2:26:14
1992年4月12日  アントニオ・ピント英語版 (PRT) 2:10:02  カトリン・ドーレ (GER) 2:29:39
1993年4月18日  イーモン・マーティン英語版 (GBR) 2:10:50  カトリン・ドーレ (GER) -2- 2:27:09
1994年4月17日  ディオニシオ・セロン英語版 (MEX) 2:08:53  カトリン・ドーレ (GER) -3- 2:32:34
1995年4月2日  ディオニシオ・セロン (MEX) -2- 2:08:30  マルゴザタ・ソバンスカ英語版 (POL) 2:27:43
1996年4月21日  ディオニシオ・セロン (MEX) -3- 2:10:00  リズ・マッコルガン (GBR) 2:27:54
1997年4月13日  アントニオ・ピント (PRT) -2- 2:07:55  ジョイス・チェプチュンバ (KEN) 2:26:51
1998年4月26日  アベル・アントン (ESP) 2:07:57  キャサリーナ・マッキナーン英語版 (IRL) 2:26:26
1999年4月18日  アブデルハデル・エルムージス英語版 (MAR) 2:07:57  ジョイス・チェプチュンバ (KEN) -2- 2:23:22
2000年4月16日  アントニオ・ピント (PRT) -3- 2:06:36  テグラ・ロルーペ (KEN) 2:24:33
2001年4月22日  アブデルハデル・エルムージス (MAR) -2- 2:07:09  デラルツ・ツル (ETH) 2:23:57
2002年4月14日  ハーリド・ハヌーシ (USA) 2:05:38  ポーラ・ラドクリフ (GBR) 2:18:56
2003年4月13日  ゲザハン・アベラ (ETH) 2:07:56  ポーラ・ラドクリフ (GBR) -2- 2:15:25
2004年4月18日  エバンス・ルット英語版 (KEN) 2:06:18  マーガレット・オカヨ (KEN) 2:22:35
2005年4月17日  マーティン・レル (KEN) 2:07:35  ポーラ・ラドクリフ (GBR) -3- 2:17:42[¶ 1]
2006年4月23日  フェリックス・リモ英語版 (KEN) 2:06:39  ディーナ・カスター (USA) 2:19:36
2007年4月22日  マーティン・レル (KEN) -2- 2:07:41  周春秀 (CHN) 2:20:38
2008年4月13日  マーティン・レル (KEN) -3- 2:05:15  イリーナ・ミキテンコ (GER) 2:24:14
2009年4月26日  サムエル・ワンジル (KEN) 2:05:10  イリーナ・ミキテンコ (GER) -2- 2:22:11
2010年4月25日  ツェガエ・ケベデ (ETH) 2:05:19  リリア・ショブホワ (RUS) 2:22:00
2011年4月17日  エマニュエル・ムタイ (KEN) 2:04:40  メアリー・ケイタニー英語版 (KEN) 2:19:19
2012年4月22日  ウィルソン・キプサング (KEN) 2:04:44  メアリー・ケイタニー (KEN) -2- 2:18:37
2013年4月21日  ツェガエ・ケベデ (ETH) -2- 2:06:04  プリスカ・ジェプトゥー英語版 (KEN) 2:20:15
2014年4月13日  ウィルソン・キプサング (KEN) -2- 2:04:29  エドナ・キプラガト (KEN) 2:20:21
2015年4月26日  エリウド・キプチョゲ (KEN) 2:04:42  ティギスト・トゥファ英語版 (ETH) 2:23:22
2016年4月24日  エリウド・キプチョゲ (KEN) -2- 2:03:05  ジェミマ・スムゴング (KEN) 2:22:58
2017年4月23日  ダニエル・ワンジル英語版 (KEN) 2:05:47  メアリー・ケイタニー (KEN) -3- 2:17:01[¶ 1]
2018年4月22日  エリウド・キプチョゲ (KEN) -3- 2:04:17  ビビアン・チェルイヨット (KEN) 2:18:31
2019年4月28日  エリウド・キプチョゲ (KEN) -4- 2:02:37  ブリジット・コスゲイ (KEN) 2:18:20
2020年10月4日  シュラ・キタタ (ETH) 2:05:41  ブリジット・コスゲイ (KEN) -2- 2:18:58
2021年10月3日  シーセイ・レマ (ETH) 2:04:01  ジョイシリネ・ジェプコスゲイ (KEN) 2:17:43
2022年10月2日  アモス・キプルト (KEN) 2:04:39  ヤレムゼルフ・エフアラウ (ETH) 2:17:26
2023年4月23日  ケルヴィン・キプタム (KEN) 2:01:25  シファン・ハッサン (NED) 2:18:33
  1. ^ a b 女子単独レースとしての世界記録。

車いすの部[編集]

車いすの部 歴代優勝者

開催年 男子選手 タイム 女子選手 タイム
1997年      Tanni Grey-Thompson (GBR)  
1998年      Tanni Grey-Thompson (GBR)  
1999年      Tanni Grey-Thompson (GBR)  
2000年      Tanni Grey-Thompson (GBR)  
2001年      Tanni Grey-Thompson (GBR)  
2002年  デヴィッド・ウィアー (GBR) 1:39:44  Tanni Grey-Thompson (GBR) 2:22:51
2003年  Joel Jeannot (FRA) 1:32:02  Francesca Porcellato (ITA) 2:04:21
2004年  Saul Mendoza (MEX)    Francesca Porcellato (ITA) 2:05:00
2005年  Saul Mendoza (MEX) 1:35:51  Francesca Porcellato (ITA) 1:57:00
2006年  デヴィッド・ウィアー (GBR) 1:29:48  Francesca Porcellato (ITA) 1:59:57
2007年  デヴィッド・ウィアー (GBR) 1:30:49  Shelly Woods (GBR) 1:50:40
2008年  デヴィッド・ウィアー (GBR) 1:33:56  Sandra Graf (SUI) 1:48:04
2009年  カート・ファーンリー (AUS) 1:28:57  アマンダ・マクグローリー (USA) 1:50:39
2010年  Josh Cassidy (CAN) 1:35:21  土田和歌子 (JPN) 1:52:33
2011年  デヴィッド・ウィアー (GBR) 1:30:05  アマンダ・マクグローリー (USA) 1:46:31
2012年  デヴィッド・ウィアー (GBR) 1:32:26  シェリー・ウッズ (GBR) 1:49:10
2013年  カート・ファーンリー (AUS) 1:31:29  Tatyana McFadden (USA) 1:46:02
2014年  Marcel Hug (SUI) 1:32:41  Tatyana McFadden (USA) 1:45:12
2012ロンドンマラソン

放送[編集]

BBCスポーツが中継放送を行っている。日本国内ではオリンピックチャンネルで放送。

脚注[編集]

外部リンク[編集]